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カウンセラーの対談「第22回 道幸俊也氏、向後カウンセラー対談<第5回>」

第22回 道幸俊也氏、向後カウンセラー対談<第5回>

道幸俊也 プロフィール

道幸俊也氏 資 格
キャリアカウンセラー(CDA)、オンラインカウンセラー(JOCA)、MBTI認定ユーザー (Japan-APT学会)

経 歴
人材アウトソーシング会社に入社。業務管理などの経歴後、米国シリコンバレーにある関連会社へ赴任し3年間滞在。途中、日本能率協会米国支社のプロジェクトに1年間参加などをする。日本帰任後は新規事業を立上げ、その後独立しOffice C&Mの代表取締役となり、キャリア開発をメインに人事戦略コンサルティング事業を展開する。現在、社会人向け(企業・行政・NPO法人)に自己理解のセミナーを実施するとともに、複数の大学において非常勤講師としてキャリア開発教育の講義とカウンセリングを担当している。

 

インタビュー第5回

道幸俊也(以下 道幸):本来学生にスキルを求めたって、求めようが無いじゃないですか?

向後カウンセラー(以下 向後):そうですよね。たかが知れてます。せいぜい英語ができるかとかそう言う事になるわけで・・。

道幸:例えば、資格など数値化できるものじゃないと、学生のスキルなんて見ようが無いですね。

向後:そうですね。

道幸俊也氏、向後カウンセラー対談道幸:主体性とか論理性とかを数値で表せと言っても無理な訳です。よっぽど質問を考えたりしないと・・。強いて言えば、SPIはそれにあたるのかもしれませんけど。

向後:あれだって、補足的なデータですからね。就職関係の本を読んでみたんですが、中には、この人たち採用する側になっていいのかなというようなコメントも見受けられますね。この人たち、ちゃんと人を選べるの?と、疑問に思う例も時々見かけます。多くのところでは、きちんとやっていると思うのですが・・。

道幸:就活生に臨機応変性を求めているのだけど、面接する側が、臨機応変さとか柔軟性に欠けていると言う例もありますね。そんな人たちが、どうやって、臨機応変さとか柔軟さを見る事ができるのかということですよね。

向後:例えば、道幸さんがおっしゃっていた、足で稼いでデータを集めてくる学生をきちんと評価できたからいいですけど。しかし、そういうことをちゃんと見れない人たちもいるのではないかと感じます。さらに、これだけ大量に資料を読んで面接していると、感覚が麻痺してしまうということもあるのではないかと思います。

道幸:そういうことがあるから、大手は一時面接を代行する会社にまかせている場合もありますよね。

向後:それも問題ありますよね。

道幸:代行する会社が、ちゃんとその企業の人材像をちゃんと認識しているかどうか?

向後:やはり、その会社を熟知している人たちが面接をしないと・・。

道幸:まあ、そうですね。

向後:代行しているところが同じだったら、面接の基準も会社が違っても同じになっちゃうじゃないですか?

道幸:結局そうですよね。最近多いですよ。代行している会社。

向後:そうですか。

道幸:一次選考を代行する側が、キャリアカウンセラーなど傾聴ができて、会社が重点を置いている部分を明確に説明できるのなら、選考もできるでしょうけど、そうでなかったら、例えば、元人事マンみたいな人だったら、全然違う結果が出てしまうかもしれないです。

向後:ちょっと、心配ですよね。

道幸:そう言う意味で、キャリアカウンセラーが一時面接代行でかり出される事がよくありますよね。僕の知り合いでもやっている人、けっこういます。

向後:そういう基礎があってやっているんだったら、いいかもしれないけど、そうでない人にポイと投げちゃったら不安ですよね。同じ会社の人の中にキャリアカウンセラーがいて、その人たちが面接するって言うのだったら、いいかもしれませんけどね。

道幸:そう意味で、内部で資格を取らせる企業さんが多くなって来ているらしいですよ。

向後:キャリアカウンセラーの?

道幸:それに限らず、社内で悩んでいる人たち向けのサポートもありなんですけど、採用のときにもそう言う人に来てもらうと言う事があるようです。企業内で、そういうのをやっているという例は最近よく聞きますね。

向後:あと、就職自殺が増えているというニュースがありましたよね。実際調子悪くなる人は、多いですか?

道幸俊也氏、向後カウンセラー対談道幸:実際に、うちの大学でもいますね。いわゆるお祈りメール(不合格を伝えるメール「今後のご活躍をお祈りします」と書かれている事が多い)が続くと、いわゆる人格が否定されたような気持ちになってしまうみたいですね。そうなると、就職活動をやめてしまうとか小休止に入るとか言う学生が出てくるのが、5月、6月なんです。そうは言ってもと考えを変えていく子達は、這い上がってくるんですけど、そうじゃなくて、低空飛行に行っちゃってあがってこれない子は、ちょっと大変ですね。ちょっと危険ですね。

向後:危険ですよね。就活やめちゃってプーになって、うつ傾向になってしまう学生は出てきますよね。やっぱり50社とか受けて、みんなだめだと、その学生にあまり行動力も無くアピールするところも少なかったということがあったとしても、あれだけ否定されると、苦しいですよ。

道幸:否定も、ちゃんと面と向かっての否定じゃないんですよね。面接の場ではものすごく持ち上げられて大丈夫だと思っているところへ、そういうお祈りメールが来ますから、その落差が大きくて、ショックを受けますよね。かえって、面接でダメだしされた子の方が、どんどん内定をとっていくということもありますね。面接でダメ出しされたので、あきらめていたところへ合格メールだから、うれしいですよね。そういう子は、けっこう内定とって来たりしますね。

向後:面接で、あんまり持ち上げなきゃいいのに。

道幸:そうですね。

向後:Gain & Loss効果と行って、一度持ち上げてから落とすと、ショックが倍増するとも言われています。

道幸:差が激しいですものね。学生で、面接終わってから「どうやった、面接は?」って聞くと、ニコニコして、「なんかいい事ばかり行ってくれるんですよね」と言う学生も居ます。もっとも、今の学生は、いい事言われても、なんか無理なんじゃないかというかって思うと言うのですよ。

向後:そうなんですか?

道幸:逆に「ダメでした」と落ち込んでくる学生の方が二日後に次に進んだというメールをもらうなどと言う事がありますね。たぶん、企業側にも「こいつ欲しい」という子には、しっかり知りたいから厳しい事言うみたいですよ。まあ、わざとなのかどうかわからないですけど。

向後:あの、悪評高い圧迫面接と言うのはどうですか?

道幸:完璧な圧迫面接と言うのはなくなったですね。やっぱりこれだけネットが広がると、ひどい圧迫面接にあたったりすると話題になってしまいますからね。しかし、いわゆる、深堀りで、「どうして、どうして」、「なんで、なんで」と論理的に圧迫するということはあるみたいですね。また、無言の圧迫と言うのもあります。3人面接官で一人学生で、一人はしゃべるんですけど、後の二人がまったく無視して、なんか小声で相談してたりするんですよ。それが学生の視界に入るので、学生はどきどきするわけですよ。そういう圧迫は聞きますよね。

向後:さすがに、激しい圧迫面接は、数年前まではあったけれど、最近無くなって来たんでしょうね。

道幸:ただ、最近、深堀りの「なぜなぜ質問」が多くなっているようですよ。6回「なぜなぜ」と聞くらしいですよ。ひとつのことに対してですね。だから、「これについて、どう思いますか?」と聞いて、学生が答えると、「どうしてそう思うのですか?」と、どんどんどんどん質問を重ねていくということです。

向後:そういうのが、最近ブームになっているのですかね?

道幸:なんか、そんな感じですね。おそらく今年もそうであろうと言われています。例えば、3.11の年、岩手出身の学生がいたのですけれど、神奈川県の企業を受けた訳です。そうしたら、面接官が、「なんで神奈川なんだ」と聞く訳ですね。学生は、「神奈川は第二の故郷だ」などと言う訳ですけど、「今、被災地は大変なのだから、岩手に帰るべきじゃないか」なんてことを面接官から言われて、それでも答えるのですが、何度も「なんで」と聞かれて、結局その学生は、だまってしまったらしいですよ。それで、神奈川県の企業は落ちましたね。逆に、岩手県の同業は通りましたよ。

向後:でも、そんな志望動機と言ったってね・・。僕は、あれですよ。最初は、石油会社に入った訳ですけど、そのとき「なんで、なんで」って聞かれたら、何も言えないですよ。

道幸:僕もそうですね。(笑)

道幸俊也氏、向後カウンセラー対談向後:本当の事言えないし。僕の場合、本当の事は、学校でさぼってばっかりいたから、それでなんとなく、プラント会社だと苦労しそうだけど、石油会社の方が、僕の分野は楽そうだったし、安定しているし、年功序列で、失敗しなけりゃそれなりに出世もできそうだしなどと、虫のいい事を考えていました。実際は、入ってみたらそう言う事も無かったし、年功序列はなくなっちゃったんですけど、就活の頃は、そういう計算をしていた訳ですよ。そして、そんな計算をするのは、あたりまえの事なんです。でも、それを面接で言ってはマズい。だから、元々うそを言う訳です。本音じゃないんです。

道幸:その計算している部分については、言えないでしょうね。

向後:計算したところを除いて、なぜこの会社かということですよね。

道幸:多少そういう計算は、面接する側も感じながら面接していると思いますよ。それでもうちを選ぶからには、なにか他に理由を見つけようとしますね。彼らも上に報告する訳ですから、「こいついいぞ」と言うからには、それなりの理由が無ければならない訳です。記憶に残せないと、上に通せないですからね。

向後:なるほどね。

道幸:だから、「こいつは、ここだな」と思ったら、そこを深堀して、それを報告書に書いて、次にいくと言う感じですね。

向後:大変だな〜、就活生も。

道幸:そこまで言おうとしたら、きちんと自己分析して、自己アピールしないとだめなんですよね。なんか、アセスメント受けたらこんな結果が出たから、ここを受けましたということではなくて、出た結果に対して自分なりにちゃんと理由付けをしたり根拠を明確にしたりしていかなきゃいけないんです。そして、実際にこういう場面ではこうだったという体験談も言えて、説明できないと、聞いている側も、「うまいこと適当に言おうとしているんだな」ということになってしまいます。

向後:面接官も、だいたい、うまい事言っているだけなのか、本当にそうした資質を持っているのかは、わかりますからね。

道幸:きちんと考えている子、それからキャリアカウンセラーと相談したりして真剣に考えて来た子は、変に流暢ではなくて、たどたどしかったりするときがあります。たどたどしいけど、自分の経験をきちんと伝えようとしているということはわかりますね。

向後:たどたどしくても、いいんですよね。

道幸:そうです。変に流暢じゃなくても。

向後:流暢だったら、あやしいと思いますからね。

道幸俊也氏、向後カウンセラー対談道幸:かえってあやしいと思いますね。面接官、人事の人も言っているのですけど、そんなに流暢にしゃべる必要は無いと。途中、例えば沈黙があってもかまわないんで、自分の言葉をちゃんと言えればいいんですよと。流暢でも変にぎこちない言葉で返されたら、こっちは怪しんでしまうというんですよ。

向後:即答できなくてもいいんですよね?「ちょっと考えさせてください」というのは、ありだと思うのですが。

道幸:そうですね。「ちょっと考えさせてください」というのは、かまわないというところが多いですね。「いいですよ」という会社もあれば、「じゃあ、他の質問にしましょう」というところもありますね。こういうことは、ビジネスの場であたりまえにあるじゃないですか?考えなきゃイケナイという場面はありますからね。社会人だからといって、ぽんぽんぽんぽん答える事ができない事もありますからね。当然考える時間はあってしかるべきなんです。素直に言えばいいんです。「考えさせてください」と。

向後:そうですね。なんでもぽんぽん言えるのは、うそをついている証拠だって言う研究結果がありましたけどね。(笑)

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