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カウンセラーの対談「第21回 道幸俊也氏、向後カウンセラー対談<第4回>」

第21回 道幸俊也氏、向後カウンセラー対談<第4回>

道幸俊也 プロフィール

道幸俊也氏 資 格
キャリアカウンセラー(CDA)、オンラインカウンセラー(JOCA)、MBTI認定ユーザー (Japan-APT学会)

経 歴
人材アウトソーシング会社に入社。業務管理などの経歴後、米国シリコンバレーにある関連会社へ赴任し3年間滞在。途中、日本能率協会米国支社のプロジェクトに1年間参加などをする。日本帰任後は新規事業を立上げ、その後独立しOffice C&Mの代表取締役となり、キャリア開発をメインに人事戦略コンサルティング事業を展開する。現在、社会人向け(企業・行政・NPO法人)に自己理解のセミナーを実施するとともに、複数の大学において非常勤講師としてキャリア開発教育の講義とカウンセリングを担当している。

 

インタビュー第4回

道幸俊也(以下 道幸):行動力のある子は、大手にも受かりますね。去年のケースなのですが、女子のケースで、「とにかく動け」、「行動しろ」とアドバイスしてきたわけです。その子は、だめもとで、企業訪問、OB訪問をしまくったわけです。案の定、門前払いとかくらうのですが、がんばった結果、2月にひとつ、3月にふたつ、内定をとってきて、最後にある大手企業に受かったんですよ。もー、とにかく電話して、しまいには、名前覚えてもらうようになっちゃって、その企業側から、「○月△日にセミナーあるから来ますか」という話があって、その流れで、「こういう方にお話を聴いてみたいのですが」という話を出して、そうしたら、企業側も「いいよ、それでは、人を紹介してあげるよ」ということになったらしいんですよ。それだけで終わらなくて、「今度は、企画の人のお話をお聞きしたい」という電話をしたら、ある企画担当が新宿で30分ぐらい会えるよという話があったら、そこに会いに行ったりとか。もう、動き回って、これだけ行動力があったら、どこの企業もほしがるだろうなという感じですね。まあ、あれは、みごとでしたね。

向後カウンセラー(以下 向後):そういう子もいるんですね〜。すばらしい。

道幸:一番究極な例は、なんか部品会社のメーカーさんだったですよ。日本国内のシェアが60%ぐらいで、部品だから、実際僕らの目にはなかなか入らない訳ですよ。なんで60%のシェアがあるんだろうって、その子は考えて、説明会とか、企業訪問、OB訪問で情報を集めても自分なりに納得できるものがなかったんですって。彼は、次にどんな手段に出たかって言うと、もらったパンフレットの裏に、取引先一覧が載っていたので、そのリストに載っている会社全てに電話したんですよ。道幸俊也氏、向後カウンセラー対談

向後:おー、すごいですね。

道幸:そして、購買部の人にアポをとろうと思って電話をして、60数社あったなかで、5社受けてくれたらしいんですね。ところが、そういうことをやっているうちに締め切りが過ぎちゃったんです。でも、彼は、その5つの会社に行ってヒアリングするわけですよ。「なんで、あそこの会社と取引するんですか?」と聞いたら、「いいところも、悪いところもあるんだけど、要は、その会社って信用できるんだよね」というのが、5社共通で帰って来たらしいんです。彼の中で大切にしていることとして「信用・信頼」というのがあって、それで、腑に落ちて、「この会社だ」と自分で言い切れる自信を持ったというわけです。時既に遅しだったのですが、彼はあきらめずにそこに履歴書書いて送ったんですよ。そうしたら、その会社から電話がかかって来て、通常の選考日以外の日で、時間を指定されて、来てくださいといわれたとのことなんですよ。行って、部屋にとおされて待っていたら、普通担当者が来るじゃないですか。しかし、来たのは、その会社の社長で、「ありがとうございました。普通こういうことは、本来うちの会社のマーケティングの人間がやることなのに、一学生の君がやってくれた。その熱意には感服します」と言われて、その場で内定出されたらしいです。

向後:そういう子達もいるんですね。

道幸:そういう行動力のある子は、どこの企業でもほしがっているという共通項があるんです。このとき思ったのは、偏差値関係なく、男女関係なく、行動するのが勝ちと言うことですね。

向後:なるほど。

道幸:それ、リアルじゃないですか。ネットとかそういうのに頼るのではなく。ネットとか説明会とかそこで聞いた中から志望動機を書いても、結局情報源はいっしょなので、似たりよったりのことしか書かないわけですよ。ところが、そうやって足で情報をとってきている連中は、生の情報で書くので、企業側も「こいつなんか面白そうだぞ」とか、「こいつ、どうやってこの情報仕入れたのだろう?」とか気になるので、会いたくなるのだそうですね。書類選考では、そういった連中は全部通りますね。

向後:そうなんだ。

道幸:みんな、決まりきった「御社の特徴はどうのこうの」というのをネットから拾って来たらすぐ書けそうな内容だと、「またか」みたいな感じでスルーされちゃう。

向後:足で情報を稼ぐのは大事なんですね。

道幸:そうです。キーワードは、足で稼ぐと言うのと、本音で話すという、このふたつですね。このふたつで勝負している連中は、確実に内定とれるということですね。

向後:学生達は、本音でしゃべれないんですよね。道幸俊也氏、向後カウンセラー対談

道幸:本音でしゃべるために、表面上の生半可な自己分析とか自己理解じゃなくて、本当に自分の中にある軸は何かということとか、自分が常に判断のよりどころとしている事は、大切にしているものはなにかということなど・・。それをまず見つけなければ。質問で、分からない事を聞かれて、そういうときにはこういう風に言ったほうがうけがいいのではないかという情報を集めて答えてしまうと、その場でぶれてしまうじゃないですか。それよりも、なにかコレだというものがあって、何か分からない事があっても、ここにそって考えてしゃべればというものを持っていれば、あまりぶれないですから、「ああ、彼は、本音で語っているな」と言う安心感があるというか。だから、伝わるんです。

向後:どこかで聞いて来たような情報に基づいてしゃべっちゃうと、要は他人の視点でしゃべっちゃうということになりますね。

道幸:そうなんですよ。

向後:しかし、今の学生さん達はかわいそうですよね?そう言うトレーニング受けて来てないですから。みんなさっきの親御さんの話じゃないけど、子供に対して、いたれるつくせりで、それが、親だけじゃなくて、学校もそうなんだけど、社会全体が、安全に、安全にという感じですね。僕は、社会が子供達から失敗する権利を奪っているような気がするんですよ。失敗から自分の頭で考えるということを学んでいくものじゃないですか?だから、失敗しない子供や若者は、想定外のできごとに対する対応が苦手になってしまいます。
ほんとうにもう、腫れ物に触るように子供達に接している。先生達も、なんか言うとモンスターペアレントとか言われる人たちが怖いから、手出しできないんですよね。

道幸:私も去年までは、外部の非常勤だったので、言いたいこと言えましたけど、今年ちょっと常勤になってしまったので、言いたい事いいづらくなっちゃったですね。

道幸、向後:笑い

道幸:今回も10月の半ばの父兄会でちょっとしゃべってほしいって言われていて、まあ、言うしか無いかなと思っています。

道幸、向後:

向後:親や学校がそういう状態で来ているところに、「空気を読め、空気を読め」ってプレッシャーがあったりするわけじゃないですか。そうやって生きて来て、突然就活のときに「自分の言葉でしゃべりなさい」っていうのが無理な話で。

道幸:無理ですよね?

向後:無理だと思いますよ。本当に。かわいそうだと思いましてね。

道幸:その失敗しても大丈夫なんだ。ここは、何を言ってもOKなんだという雰囲気にならないと、彼ら絶対口開かないでしょうね。

向後:そうですね。

道幸:キャリアの授業なんかでグループワークやるときも、「とにかく、この授業は正解ないから」、「価値観が人それぞれちがうのは、あたりまえだからね」と学生さん達に言うんですよ。そういうグランドルールを最初に言わないと、だれもしゃべらない。

向後:そうですね。

道幸:特にまた法学部なんかになると、そういうグランドルールを言っておかないと、ディベートに走る、論破してやろうとする喧嘩の方に走ってしまうんですよ。だからもう、それは違うと、彼らに言うんですよ。「ディスカッションじゃなくてディベートやってるでしょ。そんな事やっていたら、絶対内定とれないよ」と言うんですよ。とにかく、フィードバックのときも、まず良いところから伝えて、気になったり違和感があるところがあったら、「さっきのこの部分、ちょっと違和感感じて、自分はこう思うのですけれど、どうですか?」という「『Iメッセージ』で言わないと、けんかになるよ」とアドバイスするんです。そういうのをちゃーんと最初から教えていかないといけないんです。道幸俊也氏、向後カウンセラー対談

向後:『Iメッセージ』って、ほんとみんな言わないですもんね。

道幸:言わないですね。

向後:みんな『Weメッセージ』なんですよね。

道幸:その方が、逃げ道と言うか、責任転換できますからね。

向後:そして、攻撃するときは『Youメッセージ』なんですよね。『Iメッセージ』がない。だから、「自分は、これが好きだ」というのが言えないし、そんなこと言ったら「ださい」って言われちゃうし。

道幸:人は人なんですけどね。

向後:それは、グループの中では許されないみたいで。

道幸:人は人と言うのは、私の場合、アメリカの3年間があったから、より強く感じるところがありまして。一回言われたんですよ。私が勤めていた会社(米国支社)のスタッフで60代後半だったと思うのですが、その人がリクルーターみたいな人だったんですけど、その人は、会社が終わると、大学で会計のクラスをとっていたんですね。私が、「なんで、会計の勉強するのですか」と聞いたら、「会社で仕事で使うから勉強しているんだ。なんで、そんな質問をするのか?」って、逆に怒られるというか、したためられるという感じで言われましてね。向こうは、とにかく必要だからやるんであって、それは、人は人で、自分の身は、自分で守らなければあかんというというのが前提やから、周りの人間からとやかく言われる筋合いは無いということなんですね。

向後:なるほどね。

道幸:そういう例はたくさんあります。例えば、冬場なのに半袖短パンで歩いている人がいたから、「なんであの人は、半袖短パンで歩いているんだろう?」と言うと、「あいつは、そうしたいからそうしてるんだよ」って言うんですよ。

向後:そうなんですよね!(笑)

道幸:「なんで、お前そんなこと聞くんだ?」って言われたりとか、雨降っていて、傘さしていない人がいると、日本では不思議に思うけど、向こうで、「傘さしてないね、あの人」なんて同僚に話すと、「なんで?」と聞いてくるんです。私は、「だって、雨が降っているから」と答える訳ですけど、彼らにとっては、「あいつは、傘さしたくないんだよ」で終わりなんです。

道幸、向後:

道幸:それ言われてから、私は、完全に価値観変わりましたね。

向後:私もそうでしたね。彼らは、「・・したい」、「・・したくない」という原理で動いてますよね、基本的に。日本に帰ってくると、「・・すべき」、「・・すべきじゃない」で動く場合が多い。

道幸:そうですね。

向後:それが、すごい窮屈になるんですよね。

道幸:日本に帰って来て、本当に一番感じたのは、なんてこんなに周りの目を気にする民族なんだろうということですね。体裁と言うか、なんかこう・・。

向後:僕の場合、帰国当時、電車の中吊り広告がまず、ストレスだったんですよ。あれ、みんな文句じゃないですか?道幸俊也氏、向後カウンセラー対談

道幸:そうですね。

向後:アメリカにもああいう雑誌あるけど、例えば、パパラッチね、けどあんなに大々的に広告出してないし、電車とかバスの中の中吊り広告であんなのないですよね。特定のそういうのがあるスタンドとか本屋に行けば、目にしますけどね。

道幸:そうですね。

向後:日本の週刊誌などを含むマスコミの不思議なのは、みんな同じ事言うことですね。すごく不気味だったですね。

道幸:なんかこう、あおられていますね。いろんなメッセージが。

向後:どんどんどんどん、変な方向に行っちゃっているのかな?って、心配になる事があります。

道幸:たぶん、学生達も、ニュースとか新聞読まないとか言われてますが、どこからともなく、なんとなく肌で感じているものがあるんじゃないかっていう気がしています。家に帰って、お父さんお母さんが働いていらっしゃったら、リストラとかなんだかんだで、もしかしたら自分の家庭でもそういうのがあったりだとか、ネットとかで、どこかで目にしていたりとか、なにか感じているものがあるのだろうと思います。その上、ちょっと一歩下がって、自分に危険が及ばないような安全な場所を探しているんだろうなと思う事があります。

向後:そうですよね。安全な場所と言うのは、若い人たちにとって。とても大事な感じがしますね。そして、本当にすごくWatchしてますよね。見てて本当に窮屈で可哀想だなと思いますね。

道幸:かつての終身雇用とか年功序列みたいな、一旦入ってしまえば、定年まで安心とかいう感じがなくなったじゃないですか。護送船団方式で、みんなで守られているという雰囲気が、今は、もうほとんどなくなり、自分の身は自分で守らなければいけないと言う状況になってしまっています。さらに、例えば成果主義でこうとか、目標管理でこうとかいうのが一気に導入されて、右にならえしちゃって、できないと、はじかれて、それで、早期退職などという形で追い出されちゃう訳じゃないですか?
実際今僕がやっているキャリア開発の企業研修でも、5日間泊まり込みで朝7時から夜9時までみっちりやるわけですよ。実際にこれから20年会社でどうやっていくかというキャリアビジョンを書かせて、それをどうやって実現させていくかというアクションプランを書かせるんですね。それを人事の前で、ひとりひとり発表する訳です。それを自分の上司にもどして、そしてそれを定期的に精査してできているかいないかをチェックさせるんです。それでできなかったらさようならということになるんです。 それが大手ではあたりまえになって来て、一般職の女性にもそういうことがなされています。
今まで、例えば、営業とかは、目標作らされましたけど、一般職の女性は、目標とかどうありたいかなんて考えてきていない訳ですよ。いきなりそれをやれって言われて、自分はどうありたいかとかキャリアビジョンを考えていると3日目ぐらいで泣き出すんですよ。30代40代の女性が・・。でもやらないと、自分は生き残っていけないと・・。そういうのが日本の社会なんで、当然採用するときも、そういう目盛りを作らざるを得なくなっちゃうんです。

向後:どういう目盛りなんですか?

道幸:要は、コミュニケーション力があるかないかとか、主体性があるかどうかとか、論理性があるかないかとか、そういった目盛りですね。昔は、「一生懸命やります!」で通ったじゃないですか。今は、それでは通らなくなってしまったんですよ。

向後:しかし、それって、なんか穴がありそうですよね。

道幸:なんかちょっと偏っちゃった人ばっかり集まってしまうと言うか・・。道幸俊也氏、向後カウンセラー対談

向後:だから、まあ、そういう目盛りに合うのは、それはそれでいいかもしれないけど、例えばエンジニアの世界では、あの〜、すごいものを発明する人って、そうした一般的な目盛りでは測れない人多いじゃないですか?

道幸:まあ、そうですよね。副産物とか、セレンディビティとか、なんか本筋じゃないところでできたものが、実はすごい発明だったりということはよくあるじゃないですか。

向後:そういう物差しにあわない人たちを混ぜ込んでいかないとまずいんじゃないかな?全部が全部、そういう人ばかりじゃ困るかもしれないけど・・(笑)。 意外に、日本の企業って、以前は、何人かに一人そういう人がちゃんといたような気がするんですよね。そういった人が必ずしも出世するとは限らないけど、時々ホームランを打って、企業の活力みたいになっていたような気がするんですけど。

道幸:いわゆる商売上手かって言うと、商売上手じゃないタイプの人たちなんですよね。そういう人たちって。でも、そう言う人が実はすごいものを発明したりとか、実は、大きな収入になるようなアイデアを持っていたりする訳です。アメリカは、どちらかっていうと、そういう人の層がもっと大きいと思います。もっともっと多種多様のような気がしていて、それを受け入れて、そういう人たちにお金を払う基金みたいなのもしっかりできあがっていて、日本みたいに費用対効果が計算できないようなものにはお金を投資しないというわけではなく、そうした副産物で、もしかしたらすごいものができるかもしれないというものにも、それなりにちょっと面白そうだなという感覚でお金を払う投資をすると言う基金があったりしますね。

向後:日本なんかも、以前は家電メーカーなどにそういう風変わりな人がけっこういたみたいですよね。今、全然居ないみたいだけど・・・。今は、目標を設定して、ノルマをこなしてみたいな人ばかりになってしまったということを実際にメーカーに勤めている方からお聞きした事があります。

道幸:そうですね。会社がそういう風になっちゃっているので、就職するときのなんかそういう基準を設けなきゃってことで、こんな風になっちゃているんでしょうね。

向後:そうですね。

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