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カウンセラーの対談「第23回 道幸俊也氏、向後カウンセラー対談<第6回>」

第23回 道幸俊也氏、向後カウンセラー対談<第6回>

道幸俊也 プロフィール

道幸俊也氏 資 格
キャリアカウンセラー(CDA)、オンラインカウンセラー(JOCA)、MBTI認定ユーザー (Japan-APT学会)

経 歴
人材アウトソーシング会社に入社。業務管理などの経歴後、米国シリコンバレーにある関連会社へ赴任し3年間滞在。途中、日本能率協会米国支社のプロジェクトに1年間参加などをする。日本帰任後は新規事業を立上げ、その後独立しOffice C&Mの代表取締役となり、キャリア開発をメインに人事戦略コンサルティング事業を展開する。現在、社会人向け(企業・行政・NPO法人)に自己理解のセミナーを実施するとともに、複数の大学において非常勤講師としてキャリア開発教育の講義とカウンセリングを担当している。

 

インタビュー第6回

向後カウンセラー(以下 向後):就活で、メンタル的に調子が悪くなる学生さんがいらっしゃるわけですけど、そうした学生さんのケアなんかは、各大学で、どのような対策がとられているのでしょうか?

道幸俊也(以下 道幸):最近各大学、そのへんのところ考えていまして、キャリアカウンセラーを置いているところが多いんですよ。

向後:なるほど、キャリアカウンセラーですか。

道幸俊也氏、向後カウンセラー対談道幸:そういうふうにやりましょうと、文科省とか厚労省がお達しを出しているので・・。それと連携して、臨床心理士の人も置くようになっています。キャリアカウンセラーが学生からの相談を受けていて、この学生は、メンタル的な話を聞いてもらう方がいいのではないかと思われる場合には、臨床心理士さんのところに連れて行ったりします。

向後:学生さんは、抵抗なく、臨床心理士さんに相談に行くんですか?

道幸:けっこう行くみたいですよ。

向後:じゃあ、カウンセリングとか学生相談と言うのがポピュラーになってきているんですね?

道幸:なっています。ですから、学校の方も、ちゃんと公募して面接して臨床心理士を採用するようになってきています。最初は非常勤から始まったのですが、最近は専任という形で採用するようになっていますね。

向後:以前は、だいたい3年契約で学校の心理士の仕事が終わるというケースが多かったのですが、今はどうですか?

道幸:今は完全に専任になっていますね。完全に職員のひとりということになりますね。

向後:なるほどね。

道幸:うちの臨床心理士さんは、キャリア側と連携をとってくださる方なので、こちら(キャリアカウンセラー)も情報提供しやすいし、臨床心理士さんも、必要な情報をくれます。もちろん、守秘義務があるので、その学生の具体的な相談内容はわかりませんが、その学生に接する時どのような点に注意を向けたらいいかなどのアドバイスはくれますね。

向後:キャリアカウンセラー、臨床心理士、教員が協力し合うと言うのは必要ですよね。

道幸:M大学の場合、学生全員に対してカウンセリングを受けるルールになっています。入学前からやりますから、キャリアカウンセリングに対するハードルがとても低いんです。2年、3年、4年になっても、平気で相談に来るんですよ。実際に学生が来たときに、チェックする項目は、低学年の場合は、「学生生活どう?なんか悩んでいる事ある?」「これまでふりかえってどうだった?」みたいな質問をするんですけど、その中で、「この学生、メンタル面で悩んでいるな?」とか、「このままだとこの学生は、学校を辞めてしまうかもしれないな」と思う場合には、カルテを入力するときに、フラグを立てる項目があって、その項目については、本来はキャリアセンターの人しか見れないものが、フラグを立てると、学生や教務課の職員にも見れるようになるんです。つまり、ある学生にフラグが立つと、全職員に情報が共有される事になります。

向後:全職員に情報が教有されると言うのが学生に分かっちゃうと、学生にとっては抵抗がありませんか?

道幸:フラグを立てる場合は、学生に確認をします。「こういう情報を共有してもいいか」ということを学生に聞くわけです。

道幸俊也氏、向後カウンセラー対談向後:カウンセリングでも、例えば命に関わるような事があった場合には、命優先で必要なところに情報を提供する場合がありますということは、最初にクライアントさんにお伝えします。そういう説明をすると納得してくれますね。

道幸:そうですよね。そうしないと、後から万が一のときに、「なんで、この情報がここで止まっていたのか」なんてことになりますから。特に大学なんて言うところは、縦割りで、横とまったくつながっておらず、システム自体が、その部署、その課だけで独立しているので、それが他につながっていないですよね。

向後:外部の機関との連携みたいなことはあるんですか?

道幸:キャリアの方で言うと、仕事を紹介してくれるNPOがあるんで、そっちの方を利用したりすることがあります。

向後:僕も学生相談をしていた時、年間800件やったことがありますけど、相当メンタル的に調子悪くなっちゃっている学生もいましたね。結局そう言う場合には、外部の医療機関を紹介する事も多かったです。

道幸:たぶん、最近はメンタル面に敏感になっていて、大学もいろいろ外部のリファー先って持っているんじゃないですかね?

向後:親御さんもからめてカウンセリング大変な場合もありますか?

道幸:そうですね。キャリアで言うと、「なんでうちの息子、娘には、求人情報を流してくれないんだ」というクレームが学校にきたりしますね。しかし、学校は、流しているんですよ。メールも送っているし、しかし、学生が連絡してこないだけで・・。でもその、学生が親に何と言っているのかわかりませんけど、例えば、「そんなのもらってない」とか言っているんでしょうね。でも、学校は、一斉に送っていると言う記録が残っているんですよ。

向後:学生の中には、本当に熱心に就活をしない人もいますからね。逆に、親が非常に熱心だったりすることはありませんか?

道幸:そう、親の方が熱心ですね。エントリーシートを親が書く例もあるし、なりすましの例もあるし、娘の代わりに説明会行った親もいるんですよ。

向後:え、そういうこともあるんですか?

道幸:学生のお母さんが、とある企業に行ったわけですよ。企業側も、そういう人に「ダメ」って言っちゃたら、後で何言われるかわからないじゃないですか。仕方がないから対応するわけですよ。でも、だれの親かわかるじゃないですか。学生の名前をひかえるので・・。結局その子は、合格しませんよね。

向後:かわいそうですよね。有能な子だったかもしれないのに。

道幸:その娘は何をしていたのかと言うと、その日に別の会社の説明会がバッティングしたので、そっちの方に行っていたということなんですよね。よくあるみたいですよ、最近。

向後:大学の履修届を親が書いているなんて例もありますからね。ちょっとねぇ、どうなっちゃっているのかなって思います。

道幸:とにかく、もう考えられないような事があたりまえのように起こるんですよね。まあ、そこで変に驚いてもしょうがないなという感じですね。

向後:もうあたりまえになっちゃってるんですかね?これからどういう風になっていくのでしょうか?

道幸:おそらく新卒一括採用じゃない選択肢を設ける会社が増えるんじゃないかと言われています。

向後:そうすると、昔の方式にもどるのですか?

道幸:そうなるかどうかはわかりませんが、いわゆるSNSを使う採用活動と言うのは増えて来ています。特にフェイスブックを利用する企業が増えていますね。

向後:フェイスブックに学生がアクセスするわけですか?

道幸俊也氏、向後カウンセラー対談道幸:「いいね!」を押して、そこでのやり取りを見れるとか、フェイスブック上だけにしか説明会の告知をしないと言う会社もでてきてますね。そこで、例えば、その会社の商品に対して学生がコメントすると、そこでやりとりが始まるじゃないですか。無料ですので、企業もフェイスブックを活用するところが増えているんです。だから、学生もフェイスブックをやらざるを得ない。

向後:だけど、そうなるとプライバシーがなくなっちゃいますね。

道幸:それ言ってますね、学生は。

向後:フェイスブックにもう一個アカウント作るのかな?

道幸:結局そうなっちゃいますよね。フェイスブックは、友達、先生でつながったままで卒業して社会人になっている子もいるのですけど、ツイッターでは匿名なので、けっこうはちゃめちゃなことを言っているんですよ。でも、フェイスブックは、ほんとまじめ。「これが彼の発言?」っていうくらいまじめなことしゃべってますね。

向後:見られているのを・・

道幸:意識しているんでしょうね。

向後:これでいいんでしょうかねぇ?

道幸:ちょっと違いますよね。

向後:結局、さっき「失敗する権利」ということを言ったのだけど、フェイスブックにしろツイッターにしろ、失敗しちゃイケナイ、批判されたら怖いということで、当たり障りのないという方向に行ってしまうのかもしれませんね。

道幸:なんか、本来ネットの場と言うのは、自分の個性を発揮する場なのに、没個性になっていますよね。

向後:実際僕もフェイスブックもツイッターもやっていますけど、両方とも本名でやっているんだけど、怖いですもんね。だから、もっともらしい意見しか言えないです。

道幸:そうですね。

向後:学生にしてみれば、企業が見ているとなったら、益々なにも言えなくなっちゃいますね。

道幸:だから、お昼何食べたとかしか書けなくなっちゃいますよね。

向後:こういう雰囲気自体もKYを作って行くような気がしましてね。学生がどんどん本音をしゃべれなくなると言う悪循環が起こるのではないかと思ってしまいます。合コンだって、ツイッターでなんか書かれちゃうかもしれないし、何も言えなくなっちゃいますよね。本当は、「私」を主語にして自分の意見を言う「Iステイトメント」がいいのだろうけど、それができなくなってきたわけです。困ったなぁという感じがするんですけどね。

道幸:毒もとげも押さえ込んでしまいますよね。

向後:そうしないと怒こられちゃいますからね。便利なんですけどね。そして利用価値もあると思うんですよ。以前道幸さんが言っていたじゃないですか、ツイッターは、文章を書くトレーニングになるって。

道幸:いかに短文で、140文字で言いたい事伝えるかということですよね。

向後:せっかくそういう利点もあるのに、相互監視みたいな形になってくると・・。企業がツイッターやフェイスブックを見ると言うのは、心配だなと言う気がしますね。

道幸:なんか、こう、ネット上に監視カメラが置かれているみたいな感じですね。

向後:好きな事言っていたら、全然就職できないなんてことに将来なっちゃうかもしれないですよね。

道幸:そりゃあ、人間ですから喜怒哀楽あるのがあたりまえで、腹立つ事ありますわ。それを表現できないとなるとね・・。

向後:それをまったく許容できないと言う事になると、ものすごい窮屈な社会になってしまいますよね。

道幸:益々しゃべらなくなりますよね。

道幸俊也氏、向後カウンセラー対談向後:学生相談も多くなりそうですね。

道幸:M大学では、学長の号令で、職員はできるだけキャリアカウンセラーの資格をとれということで、実際各部署2人ぐらいキャリアカウンセラーがいます。

向後:すごく熱心ですね。

道幸:就活に熱心な学校は、定員もしっかり確保できる流れになっていますね。

向後:道幸さん、これから益々忙しくなりそうですね。今日は、長い間、どうもありがとうございました。

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