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カウンセラーの対談「第31回 うがわよしこ氏、向後カウンセラー対談<第2回>」

第31回 うがわよしこ氏、向後カウンセラー対談<第2回>

うがわよしこ プロフィール

米国アートセラピー協会公認登録アートセラピスト、EMDR Level1およびLevel2

デザイン職を経て渡米。ニューヨーク市スクールオブビジュアルアート大学院アートセラピー修士号取得。私立病院のデイセンター、州立精神病院の入院病棟、ブルックリン地区、クイーンズ地区二つの公立小学校等でアートセラピストとして個人、家族、グループセッションを担当する。ジューイッシュホームライフケアマンハッタン地区養護施設、および亜急性病棟に勤務しうつ、悲観になやむ高齢者への通年訪問型セラピーを実施。

 

インタビュー第2回

うがわよしこ(以下 うがわ):「空気を読む」というのはないですよね。日本特有の文化なんでしょうね。

向後カウンセラー(以下 向後):空気読まないで済むんだけど、アメリカ人はアメリカ人で別な方向からのストレスをかかえているんですよね。ユニークでなければならないというストレスがあるようで・・。

うがわ:そうなんですよね。

向後:「皆同じでなければならない」というプレッシャーがあると彼らに言うと、彼らは逆に「いいね、それ。皆同じか〜」とか言うんですよ。「アメリカじゃあり得ない」と、嫌みじゃなく本気で言うんです。僕がある時、よく発言するクラスメートに、「すごいね。よく発言できて」って言ったのですよ。そうしたら彼は、「いや、プレッシャーなんだよ。ユニークな意見を言わなければならないという追い立てられるような気持ちがあるんだよ」と言うんです。

うがわ:よくわかります。月並みでは行けない、皆と同じでは駄目なんだというプレッシャーですね。表向きはとても個性的で自信満々にみえるのだけど、実は裏ではそうでもなくて。こんなに堂々と発言するアメリカ人も、そういう人は少なくないんだ。っていうのは私にとっては結構意外でした。

向後:それは、ときどきいました。自信満々に見えるんだけど、発言する前に耳の後ろが真っ赤になっていたりとか・・。

うがわ:ありましたね。見えない机の下ではずっと落ち着きなく手を動かしていたり。「あれっ?」と思ってしまいました。

向後:最初は全然わかりませんでした。よくあれだけぽんぽんと意見を言えるもんだと思っていたら、実はとても緊張しながらやっている連中もいるんですよね。

うがわ:本当にそうですよね。

向後:アメリカ人にもいろいろあるんだな、彼らにもいろいろプレッシャーはあるんだなと思いました。それでも、たいしたもんですね、先生に堂々と反対意見を主張する学生もいるし・・。かみつかれた先生も、いくら目下の学生から言われたからと言って無視せず、一応ディスカッションするという文化があるみたいですね。

うがわ:そうですね。

向後:アメリカの中で、いいところは、何を言ったって一応聞いてくれるということだと思いますね。

うがわ:そうです。自信が持てますね。

向後:それと、すごいほめてくれますよね。

うがわ:こんなに人生でほめられたことはないというくらい、ほめてくれます。

向後:僕は、大学院の先生から、「いいファイナルペーパーをありがとう」って言われました。

うがわ:いいですね〜。

向後:でも、そのへんのこと、よく言いますよね、いろんな人に。

うがわ:いえ、でも、私向後さんの本読みましたけれど、きっと向後さん特にがんばられたから。

うがわ氏向後:あのときだけ、奥さんにちょっと尊敬されたんですよ。

うがわ:そうなんですか〜。

向後:奥さんを学校に案内してたら、たまたま向こうから研究法の教授がやってきて、「君のファイナルペーパーよかったよ。ありがとう」とか言われて、それを見た奥さんが「すご〜い」とか言って、そのときだけです。

うがわ:そんなことないと思います。(笑)あの本の写真も、すごく楽しそうな感じで、いいですよね。

向後:いや、楽しそうな写真だけ出したんですよ。

うがわ:もちろん、存じ上げていますけど。(笑)

向後:まあ、ほめられるっていうのはよかったですね。例えば、どんなひどいプレゼンをしても、必ず「good point」と、「bad point」を言うじゃないですか。あれは、ありがたかったですね。みんな絞り出してくれているんですよ。僕の下手なプレゼンに対して。(笑)

うがわ:そうですよね。必ず、いいところと、悪いところ・・、悪いところと言うか、批判じゃなくて、どうやったら直るかとか、そういう視点がありましたね。

向後:「こうしたらいいんじゃないか」とか、「僕だったら、こうするよ」とかいうことを言ってくれたりね。

うがわ:向後さん、あれありました?スーパーバイズとか。私の通っていたプログラムでは、スーパーバイザーから成績表みたいなのが届くんですよ。

向後:ありました。

うがわ:学校にいるスーパーバイザー、学校外にいるスーパーバイザーからの評価を事細かくもらいます。

向後:僕らも同じです。

うがわ:あと、学校が行うもので、教員全体から呼ばれて、「君の強みは◯◯◯、弱いところ、つまり、これから改善できるべきところは、◯◯◯」と言われ、セラピストとしての資質、人柄まで評価されるんです。その時期になるとクラスメートはみんな「何を言われるんだろう。」ってドキドキして別室で自分の番がくるのを待っていました。

向後:全員やられるんですか?

うがわ:全員です。

向後:それはなかったなぁ。ただ、問題のある学生は呼び出されるということがあって、「お前大丈夫か」ってことで、僕は呼び出されました。英語が大丈夫かってことでした。

うがわ:私も最初同じ経験をしたことがあるので、読んでて面白いなぁって思いました。私たちが経験しているということは、他の人達も経験していると思うんですよね。こんなにサンプルが似ているということは・・。

向後:そう、最初は、「こんなことで呼び出されるのは、僕だけだ」と思っていたんですけど、実は、歴代同じようなことをやられているんです。いろんな学校で。
アジア系で、中国の学生もいろいろ言われたと言っていました。その学生なんて、僕からすれば、「英語うまいしすごいな」と思っていたんですけど、やはりネイティブと違うんでしょうね。そりゃぁそうですよね。日本に長年いるアメリカ人やイギリス人でも、日本語がどこか変ですもんね。

うがわ:そう、少しだけやっぱり違います。

向後:それと同じなんでしょうね。

うがわ:そうですね。

向後:日本にいる時、よく「向こう(海外)に1年でもいれば、ペラペラだよ」なんて言う人がいたのですが、あれは、ウソですね。

うがわ:いました、いました!

向後:とんでもないですよね。

うがわ:いや、もう、それはないですよね。いるだけで話せる様にはならないですよね。ましてや現地の人並みなんて。

向後:僕は4年半いましたけれど、普通の会話ができて、字幕無しで映画を観れるというところまではいきますけど、そんなに流暢にネイティブと変わらないくらいしゃべれるかというと、それはねぇ〜。

うがわ:だいたい、メンタリティが違いますもの。特に30歳、40歳、50歳と歳を重ねれば重ねるほど、言語と文化適応の問題は大変だと思います。だから、向後さんは、すごいなと思って、本当に。40歳のときですか?アメリカに行かれたのは。

向後:そうです、40歳のときですね。だから、奥さんには、英語のヒアリングは、あっと言う間に抜かれてしまいました。

うがわ:そうなんですか?

向後:奥さんは、行くときは本当に基礎的な英語しか知らなかったんです。それで、最初の年に映画に行って、それで、少しわかりにくそうなところを訳してあげたんですよ。そしたら、そのときも「すご〜い」と、一瞬尊敬されました。

うがわ:いいお話じゃないですか。

向後:それから2年たって、「セブンイヤーズ イン チベット」というブラット・ピットの映画を観に行ったんですけど、あの映画は中国共産党の話しとか、ややこしい話しが出てくる訳ですよ。それで僕もちょっと難しい部分があったのだけど、おそらくこんな意味かなと思って、それで、きっと奥さんもこんがらがっているだろうから、説明してあげたんです。ところが、うちの奥さん、「えーっ、そんなこと言ってないよ」って言われちゃった。

うがわ、向後:笑。

うがわ:奥さんの方が、語学の勘がよかったんですか?

向後:いやぁ、そのとおりです。奥さんの方が、年下だったということもあるんですが、やっぱり女性の方が耳がいいんじゃないですかね?男は、どうも屁理屈で考えちゃうんですよ。

うがわ:屁理屈で?

向後:そう、文法的に、これはいかがなものかとか・・。

うがわ:そう言えば。男性は、書いたり読んだりする方が得意な傾向があるんですよね。しゃべったりするよりね。

向後:もう、最後の方ですね。実際にクライアントを診るとか、病院に電話しなきゃいけないとか、そういうせっぱつまった状況になって、もうどうしようもないから、やけのやんぱちでしゃべったみたいな感じですね。なんとか通じさせなきゃっていう一念ですね。(笑)

うがわ:いやぁ、すごいです。それでも卒業して、もどってきて。

向後:それは、うがわさんも同じじゃないですか。

うがわ、向後:(笑)

(つづく)

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