本ウェブサイトでは、スタイルシートを使用しております。このメッセージが表示される場合には、スタイルシートをoffにされている、またはブラウザが未対応の可能性があります。本来とは異なった表示になっておりますが、掲載している内容に変わりはありません。

以下のリンクより、本文へジャンプができます。

HOME > カウンセラーの対談 > カウンセラーの対談 第40回

カウンセラーの対談「第40回 向後カウンセラー、石井カウンセラー対談 <第2回>」

第40回 向後カウンセラー、石井カウンセラー対談 <第2回>

石井久恵 プロフィール

臨床心理士、歯科医師

歯科医療に携わるなかで、身体の症状には心の状態が深く関係していることに気づき、本格的に心理学を学び、臨床心理士になりました。
アライアント国際大学/臨床心理学大学院在学中から東京医科歯科大学での研修を経て臨床心理士資格を取得。精神科、心療内科で、10年以上カウンセリングを経験して来ました。気分や心の状態をつくり出すのは、考え方だけでなく栄養や代謝にも関係があることを知り、分子整合栄養療法を学び、食事や生活習慣を整えるお手伝いもします。また、カウンセリングの最終目的は未来に向かうことだと考え、NLPやコーチング、成功哲学も学んで来ました。

日本臨床栄養協会認定 NRサプリメントアドバイザー、米国NLP協会認定NLP™マスタープラクティショナー

【石井カウンセラー著書】「ママが幸せになる魔法の言葉」(ブックウェイ)

 

インタビュー第2回

石井カウンセラー(以下 石井):歯の話って、毎日のことじゃないですか?歯ブラシにしても食べ物にしても、ずっと続いていく日常の中にすごく関係しているので、それができないと、お母さんはずっと怒っているのですよ。『あぁしちゃだめ、こうしちゃだめ』って。そこが無理なく実践できたら、育児に余裕ができるから、もっと親子関係が良くなるんじゃないかなぁと思ってやりはじめました。このベースに、「Nobody is perfect」というカナダの子育て支援プログラムを入れています。

向後カウンセラー(以下 向後):それ最近耳にしました。

石井:有名なのですね!「Nobody is perfect」は、知識を教えないのが基本ですけど、託児をするとか、ワークを入れるとか、最初と最後は一人一言など、大切なエッセンスをいただいていて、ママたちのグループワークのようなセミナーにしています。そして、「◯◯ちゃんママ」というのをやめて、ここではニックネームで呼びあいます。子どもの事を学ぶのですが、母親としてだけでなく、一人の女性として参加してもらいます。

向後:お母さん同士がニックネームで?

石井:はい、お母さん同士が、ニックネームで呼び合うんです。

向後:おお、いいじゃないですか?みなさん、「◯◯ちゃんママ」をやめることに抵抗はなかったですか?

石井:けっこう、喜んでおられました。最初に説明をするんです。子どもができると、今までの自分と母親としての自分、ふたりの自分が生まれます。それ(そのふたり)が、なかなかうまく折り合いがつかないことが多いのです。私自身もそうでしたが、母親としての自分だけで生きていくのがいいように世間では思われているように感じています。でも女性としての自分がいなくなってしまうわけではないので、心の中には葛藤があるのです。「みなさん、『◯◯ちゃんママ』って呼ばれているでしょう?」と聞くと、みんな「そうです、そうです」と言います。だから、ここに来たら自分の名前を思い出そうということなんです。ニックネームは、何でもいいのです。「子供の頃のニックネームでもいいし、今呼んでもらいたい名前でも何でもいいですよ」と言うと、みんないろいろと書いて、名札を作ってお互いに呼び合います。毎回、緊張をほぐすためのアイスブレイクもやります。

向後:どんなことをやるのですか?

石井:例えば、同心円というワークは、みんなの共通点とみんなと違う自分だけのことを話し合いながら書いていきます。そうすると、お母さんとして集まっていても、以前はこんな仕事していたとか、学生時代に部活は何をやっていたとか、いろいろなことが出てきて、母親としてだけなく女性として生きて来た自分が浮き彫りになってきます。そうすると、母親としての立場を超えて仲良くなって行くのです。「私も陸上部だった」とか、そんな話で・・・。すごく盛り上がっちゃうんですよ。学んでいるのは、子どもの虫歯予防ですけど、その世界は大学のゼミみたいになるのです。そこで、「虫歯菌は砂糖が大好きで、砂糖を取り込むとプラークというウンチみたいなのを出して歯が溶ける」みたいな歯科的講義をします。それを家に帰って、子どもやパパに説明してね、と言うのです。家に帰ったらママが講師です。

向後:それはいい手ですね。子どもは、ウンチとか好きですからね。

石井:そうそう、プラークを虫歯菌のウンチ!と表現すると子どもが歯みがきの意味を理解するのです。汚れているところを「虫歯菌のウンチがくっついてるよ〜」って言うと、子どもも「きゃー」って言いながら、一生懸命磨くようになります。「歯磨きしなさいっ!」って怒っていたのが、親子で楽しんでやれるようになります。

向後:それは、子どもは喜びそう。

石井:「子育ては知恵をしぼって楽しむもの」という話をします。毎日の歯磨きが子どもとの戦いでなくなると、それだけでもお母さんたちは楽になります。

向後:お母さんたち大変ですもんね。

石井:夜寝る前の歯磨きタイムが、今までは押さえつけて、子どもが号泣する状態だったのが、喜んで歯磨きするようになったというだけでも、すごく楽になります。

向後:なるほど。

石井:食べ物の話にしても、「どんなに砂糖が入っていてもレモンをしぼると甘くなくなってしまう」実際にその場で実験して実感してもらい、医学的な説明をすると納得するのです。

向後:えっ、レモン絞ると甘くなくなるんですか?

石井:甘くなくなります。200CCの紅茶に25グラムの砂糖を入れて、冷やしてレモン絞ると、美味しく飲めちゃうんですよ。

向後:あっそう〜。昨日、実は冷やし甘酒というのを初めて飲んだのですけれど、普通の温かい甘酒は、すごく甘いのだけど、冷やし甘酒は、さっぱりした甘さなんですよね。それは、同じ原理なんですね?

石井:そうです。温度と、酸味とか辛味とか苦味との組み合わせによって、舌に感じる感覚がコントロールされます。甘くない野菜ジュースだと思っても実は糖分がたくさん入っていて、飲み易くなっているのです。

向後:そうすると・・、レモンサワーとか、すごい糖分が入っているかもしれませんね?

石井:そうですね。ビタミンCはすっぱいじゃないですか?すっぱいものは甘く感じないので、冷やしてレモン絞っちゃうと、『あ〜美味しい』って飲めちゃうんですよ。大量の糖分が入っていても、甘さ控えと書いてあれば、なるほど甘さ控えめだって思ってしまうのです。

向後:なるほどね。これからは緑茶ハイにしよう。

石井:ええ、そうしてください!(笑)まあ、大人はね、自分で選べばいいのですが、子供は、水かお茶にした方がいいのは、「これ甘くないからいいかな?」と思って子供にあげていたら、実は大量に砂糖が入っている、ということがよくあるからなのです。血糖値が不安定になることや、脳の神経細胞に影響を与えることも説明しています。菓子パンばかり食べていたら、セロトニンやメラトニンのような神経伝達物質ができないんだよ、ということをお伝えしています。神経伝達物質の材料になるタンパク質、ビタミンやミネラルも大切とお話するとお母さんたちもわかってくれます。

向後:サイコエデュケーションの要素を結構使われているんですね。

石井:そうか!無意識にやってました(笑)

向後:いいなと思いました。あーそうか!という、Aha体験みたいのがあるのではないかと思います。

石井:みんな目からウロコと言って喜んでいます。Aha体験ですね。朝食がパンだけ、パンもジャム塗ったり、クリームパン、メロンパンみたいな感じの家が少なくないんです。まあ、お菓子ですね。また、朝ごはんを食べないと、どんな風にホルモンバランスが狂っていくのかということもお伝えします。食育は大切です。

向後:いろいろな家庭があるのでしょうね?

石井:ビタミンCを取ろう!と、市販のりんごジュースをたくさん与えちゃう。そうすると、お腹が空かないですから、夕飯は唐揚げだけとか、シラスとご飯だけという例もありました。甘いものをあげないとかわいそうと思っています。でも、甘いがどれだけ子どもの心と身体を蝕んでいるのか。食事指導をしたら、アトピーも治ったということもありました。

向後:食事指導以外にもいろいろされてますよね。

石井:発達心理学の話もしています。タイプチェックなんかもやるんですよ。オーバーコントロールかアンダーコントロールか。怒ってばかりでもダメだし、「どうしたいの?」「何がしたいの?」と、子どもに聞いてばかりでもダメだし。

向後:オーバーコントロールは、ガンガン言う親で、アンダーコントロールは、子供のいいなりになっていく親ということですね。最近、アンダーコントロールの親が多くなってきているような気がしますね。

石井:5歳ぐらいの子に「どうしたいの?」「ジュースやめられる?」「何食べたい?」って。

向後:そうすると、甘いものばかりしか食べなくなってしまいますよね。

石井:歯科医院にきても、お母さんが子供に「治療できる?」って聞くんですよ。お母さんが「できる?」って聞くケースでは、まず治療できる子はいません。

向後:そりゃぁ、そうですよね。

石井:「虫歯になったんだから、治療してもらいなさい」って言えばいいんですよ。枠を作るということが大切です。

向後:アンダーコントロール多いかもね。

石井:親が子どもの僕(しもべ)みたいです。

向後:それが行くとこまで行って、「会社、行ける?」って聞いちゃう親が出てくるわけですね。

石井:なるほどなるほど。大人になってもそうですよね。

向後:小さい頃から、アンダーコントロールをしているんでしょうね。

石井:お母さんもお父さんも「お願いだから、口を開けて」と子どもにお願いしてます。

向後:アンダーコントロールは、今の旬なテーマになっているかもしれませんね。コントローリングな親というのが今話題になっているけど、アンダーコントロールは、むしろかなり多くてやっかいかもしれませんね。

石井:アンダーの方が予後が悪いという感じがしています。歯科医は小さい頃から中学生、高校生までお付き合いしますからわかります。アンダーコントロールを受けていた子は、学校の先生にも友達みたいな口をきいてしまう傾向がありますね。自分の立場がわからないというか・・。学校の先生も自分と同じ立場だと思っているようです。自分が一番になっているので、歯ブラシの指導とか歯科衛生士さんがすると、「めんどくさいんだけど〜」と言われてしまったり・・。

向後:へぇ〜!

石井:オーバーコントロールのほうがいいかもとも思ってしまいます。

向後:オーバーコントロールのほうが、子どもとしたらまだ対抗できますからね。

石井:親と子の立場の違いは理解した上で反抗してますから。

向後:子供の方も、「うるせぇんだよ!」とか言えるじゃないですか。

石井:そうそう。それで、すぐまた親から怒られるじゃないですか?それで、とりあえず、「いけない」ということはわかるわけです。

向後:アンダーコントロールの場合、例えば、お母さんが、「どうなの?」って聞いて、子どもがもじもじしていると「やりたくないの?やりたくないのなら、いいのよ、やらなくて」みたいにやっちゃうんですか?

石井:そんな感じです。あとは、自分の責任を取らないという感じですね。「あなたが、こうしたいって言ったんじゃない」と言うみたいな感じになるんです。

向後:そうすると、子供は身動きとれなくなりますね。

石井石井:そうそう!どうしていいかわからなくなるんです。オーバーコントロールもアンダーコントロールも時と場合によって使いわけることが大切。子供の発達心理も知っておいた方がいいし、自分の心理状況、例えば、自分がイライラして怒ってしまった、ということも知っていた方がいいと思うのです。お母さん自身がストレスを解消することも大事です。そもそも子供は、していいこととしてはいけないことを知らないのです。生まれながらにして、夜は歯を磨かなければいけないなんて知らないですよね。していいこととしてはいけないことを教えるのがしつけ。それをアンダーコントロールの人たちみたいに、「歯を磨く?」って言ってはダメということなんです。

向後:そうですよね。当たり前のことなのですが・・。でも、アンダーコントロールの人増えてきているのかもしれないですね。子供の自主性を・・ということに重きを置きすぎているのでしょうか?

石井:そうなんです。子供の気持ちが大事すぎちゃって・・・。お母さん自身が、厳しく育てられてしまうと、子供の気持ちを尊重しようという気持ちにもなるかもしれません。

向後:子供の自主性を尊重しようということを強調しすぎていた雰囲気があったかもしれませんね。日本って、1か100かという方向に行きがちですから・・。

石井:そうですね〜。褒める子育て、叱らない子育て、上手に叱る、もうどうすればいいのかわからなくなりますよね。4回のセミナーが修了すると寂しいという声があって、サークルを作りました。サークルでも学び続けられます。

向後:ユニークな試みですね。

石井:参加したお母さんの中には、サークルの日程に合わせて仕事のシフトを組んでいる人もいます。子育てって、誰からも褒められない、それが当たり前だとわかっていても辛いのです。

向後:昔みたいに大家族じゃないし、結婚前に子供のケアをする機会も少ないし、不安になるのも仕方がないですよね。

石井:そうなんです。子育て経験もないし不安だけど、何をどうしたらいいかわからない。だから、子供に「どうしたいの?」って聞いちゃう親が多いのかもしれません。

向後:そうなんだ。

石井:ダメと言ったほうがいい時と、子供の気持ちを聞く必要がある時の判断ができるようにしていくことが大切だと思います。本【ママが幸せになる魔法の言葉】を書いたのは、私自身も、子育ての本を読んで悩んでいたということもありました。子育て本はいい親になれと言われて、夢のようにあったかい親子が出てくるし、一方で心理学の本を読むと、親と子のドロドロ話が多いじゃないじゃないですか?夢のような親子は現実味が薄いし、親を非難しているだけでもどうにもならないじゃないか?という思いがあったのです。

向後:その通りなんですよね。親をなじって、毒親ですってラベリングしても、それだけで終わってしまったら、誰も幸せにならないんですよね。僕、この本読んでいて、面白いなと思ったのは、お母さんのことをたくさん書いていますよね。「お母さんがたのしみましょう」とか、「お母さんが幸せになる」とか、そう言った視点がいいなって思いました。お母さんが楽しくないとね・・。

石井:はははの窓の参加者さんたちが、結構買ってくれて、号泣したという人もいました。これまでカウンセリングで親子の問題もたくさん経験をしてきましたが、親にラベリングして非難するというところから抜け出さないと幸せになれないと思うのですよ。

向後:僕は、親を非難し続ける状態を「悲しみ温泉」と呼んでいるのですが、そこから出ないとね。でもそれが、なかなか難しいのですが、この本は、とてもその辺をうまく気づかせてくれるように思います。

石井:ありがとうございます。

向後:あと、この本の中では、子どもが成長するに従った関わり方が書いてあって、とてもわかりやすいし、悩んでいるお母さんたちにやさしいなと思いました。

石井:そうなんです。子どもって成長していくじゃないですか?その成長にあわせてコミュニケーションの取り方を変えていくというのがいいのではないかと思ったのです。例えば、いやいや期も、ただ、「ダメ」と言うのではなく、いやいやの動機を解釈してあげればいいのだと思います。「こうなのかな?ああなのかな?」と言ってあげると、全然違う。あたってなくても親がわかってあげようとすると、子どもは、ある時、あっ、そうかと気づくんです。いやいや期は、いやいや期のコミュニケーションを取れば良いのだと思います。そうすれば、やがて子どもは自分の気持ちに気づいて、言葉でコミュニケーションを取る基礎が築かれていくのです。

向後:それは、子どもの行為に対して興味をもつということに繋がるのでしょうか?

石井:そうですね。

向後:思春期なんかはどうですか?

石井:思春期の前は、「こらっ!」って言えば、「はいっ!」って言うじゃないですか?でも、思春期になると、そういう反応ではなくなる。それなのに、それまでと同じように「こらっ!」と言って思いどおりに子どもを動かそうとしているから反抗期という形でバーンと跳ね返ってくるのだと思います。子どもが元気がないとき、親が「何かあったの?」と言っても答えない。そんなときは、非言語のメッセージをつかんで、「元気がないね」と言うと「うん」と答えるわけです。

向後:非言語のメッセージは大切ですね。

石井:そうですね。同じ「ただいま」でも、楽しそうなときもあれば、小さい声でそのまま二階に行ってしまうこともあります。そうしたら、何かあったのかなと気づくのです。何があったのかを追求する前に、何かあったことに非言語から気づいてあげることが大切です。

向後:子育てって、かなりの期間続いていくじゃないですか?ずっと負担に感じている方もおられるみたいですね。

石井:この本の中にも、子育てを手放す時ということを書いたのですが、親と子の関係をずっと続けていこうとすると無理が生じると思います。子どもの成長に合わせて親子の関係性を変えていくというのが家族の姿としていいじゃないと思います。そのほうが無理がないと思います。

向後:どうやって、子育てを卒業すればいいのでしょうか?

石井:親子の関係から、一人の人間同士の関係に変わっていけば、子どもも大人としていろいろ話してきます。

向後:それは、だいたい何歳ぐらいと思ったら良いですか?

石井:15歳と言う方もおられるのですが、まだ中学生ですし、家にいますし、大学に行く18歳ぐらいがその時期かと思います。

向後:なるほど、やはりその辺ですかね。18歳以降は、人対人の関係になっていくということですね。

石井:あとは、「そのままでいいだよ」、「そこにいてくれるだけでいいんだよ」ということをしっかりと伝えておけば、あとは自分で生きていくだろう。なにかがあってもこの子は大丈夫だと信じる。

向後:そこは、とても大事ですね。

石井:そういう感じで手を離せなかったら、いつになっても子育てが不安になってしまうのですよね。親が心配ばかりしていると、子どもには、不安や信頼されていないという思いが伝わっていきます。だから、心配するより応援しようと本の中で書きました。

向後:そのとおりですね。「心配するより応援しよう」・・いい言葉ですね。残念ながら、もう時間になってしまいました。また、お話を伺いたいです。今日は、とても興味深いお話をありがとうございます。

石井:どうもありがとうございました。

▲ページの先頭へ