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カウンセラーの対談「第45回 世古詞一氏、向後、青山カウンセラー対談 <第2回>」

第45回 世古詞一氏、向後、青山カウンセラー対談 <第2回>

世古 詞一氏(せこ のりかず)プロフィール

世古 詞一氏 株式会社サーバントコーチ代表取締役 株式会社VOYAGE GROUPフェロー。組織人事コンサルタント。月1回30分の1on1ミーティングで組織変革を行う1on1マネジメントのプロフェッショナル。

1973年生まれ。千葉県出身。早稲田大学政治経済学部卒。Great Place to WorkR Institute Japanによる「働きがいのある会社」2015、2016、2017中規模部門第一位の(株)VOYAGE GROUPの創業期より参画。営業本部長、人事本部長、子会社役員を務め2008年独立。
コーチング、エニアグラム、NLP、MBTI、EQ、ポジティブ心理学、マインドフルネス、催眠療法など、10以上の心理メソッドのマスタリー。個人の意識変革から、組織全体の改革までのサポートを行う。クライアントは、一部上場企業から五輪・プロ野球選手など一流アスリートまでと幅広く、コーチ・コンサルタントとして様々な人の人生とキャリアの充実、目標実現をサポートしている。
著書『シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1 on1ミーティング―』かんき出版(2017年9月)

インタビュー第2回

世古詞一氏(以下世古):「そうですね。ここにはもちろんそこまで詳しくは書けてないんですけど、いくつか呼び水を出してみるってことですかね。」

向後カウンセラー(以下向後):「呼び水ですね!」

世古:「はい。『例えばこういうのは?』とか、『こういう考えがあるよ』とか、アイデアを与えるんです。」

向後:「『こういうこと?』とか『そういうこと?』とか…」

世古:「そうですね。その時のポイントは、たくさん出させることですね。いくつか出させて、その中からどれを深掘っていこうかを考える。やっちゃいがちなのが、相手から出てきた発言にすぐ飛びついて深堀りしてしまうことです。悪いわけではないんですが、モヤモヤした中にはたくさんのことが詰まっているので、まずは横にたくさん広げて、潜在的なものをいっぱい言語化するお手伝いをしていくということですね。それから、何が一番モヤモヤの原因かをまた相手に特定してもらって、改めて深く考えていく。普通のマネージャーがやるとしたら、難易度高いかもしれませんが。」

向後:「『なんでもあるよ!』っていう空気があったとしたら出しやすいと思うのですけど、何か言うと『10年早い!』とか(笑)言われちゃう」

青山カウンセラー(以下青山):「『その話をする前にやるのはこっちだよ!』とか」

世古:「そうですね」

向後:「そういうジャッジメントが出ちゃうと話しにくいですね。」

世古:「だから本書にも「100%受入れてもらう雰囲気作りが大事」と書いたんです。要するに共感の姿勢ですよね。」

向後:「僕、アメリカへ行く時にね、『10年早い』とか言われたことがなくて、それが面白いなと思ったんです。僕らはペーペーの大学院生なわけなんですよ。そこに偉い先生がね、『君のセオリーではどういうふうに考えるか?』って言ってこられるんですよ。日本の文化にどっぷり浸かって生きましたから…『私ごときのセオリーなんて』って思っちゃうわけですね。」

世古:「まさにそういうことなんですよ!つまり、この情報交換のコミュニケーションって、成果を出すための手段じゃないですか。つまり、その時部下は『人』じゃなくても良いんですよ。『リソース』なんですよね、ツールとしてみていると。対話はいち人間として、尊重して、話をするっていう世界観ですから、だから『君のセオリーを聞く』っていう、人として尊重しているよ、リスペクトしているよっていう姿勢がないと相手の話って聞けないと思うんですよね。」

向後:「そういってやってくれると、活発な意見もでやすいと思いますが、日本の場合には抵抗もあるかもしれません。『何でも言って良いよ』って投げかけても、『どうせ評価されるんだろう』って警戒されることもあるかもしれませんね」

世古:「はい」

向後:「『君のセオリーでは』という投げかけが自然になされて、広まっていくと、変わるかもしれませんね。」

世古:「なるほどね」

向後:「僕がアメリカで発言できるようになったのは、『君のセオリーは?』って聞かれる雰囲気のおかげですね。」

青山:「よく聞いてくれる。」

向後:「相当いい加減なこと言っても、先生たちは聞いているんですよ。『ああ、そうか。じゃあ、このクライアントの時では君のセオリーではどうするんだい?』みたいに話が進んでいって、そういう感じになっていくと、すごくおもしろい展開になっていくのじゃないかなっていう気がしますけどね。」

世古:「僕もそんなに英語話せないですけど、しばらくアメリカに行っていた時があって、話をしているとなんですかね、あの、Why?Why?ってすごいじゃないですか!」

向後、青山:

世古:「すごくよく聞かれるからイライラして。そんなのいちいち説明しなくても自明じゃん!って。」

向後:「そうですね!」

世古:「そんなの言葉にしなくちゃいけないの?って言う感じがすごくありましたね。おもしろいことに、彼らはそんな当たり前のことを自信をもって話しているんですよね。日本人からすると『そんな大した事言ってないな…』みたいな。」

青山:「そんなことを?! まあ…ってね」

世古:「それは感じましたよね。いちいち言わないとわかんないんだなって。逆に言うと日本人は大したことじゃないと、言っちゃだめだって思ってる。」

向後:「たいしたことないこと言ったって大丈夫なんだよっていう雰囲気が言いやすいんですよね。」

世古:「はい、はい」

向後:「だからその部分が、Why?Why?あまり言われるのはイヤだけど、その『何言っても大丈夫なんだよ』っていう雰囲気がね、入ったらうまくいく」

青山:「それってやっぱり、非言語のコミュニケーションでもかなり出てくる。『何でも言っていいよ』っていっても、全然そんな感じに見えない人もいるじゃない。だから、結構このね、言語のみならず、やっぱりその上司の力になっちゃうんだろうなって思うんですよね。」

世古:「そういえば芸人の有吉がね、ちょっと正確なことは忘れちゃいましたけど、いくつか名言みたいなことを言ってて、『無礼講などない!』って」

向後、青山:(大笑い)

青山:「向後さんもよくそう言ってるもんね、それね」

向後:「あれね。『何でもいいから言ってみろ』というのは、危険ですよね…」

世古:「そうですよね、でも本当に難しいんですよね。以前、ある金融関係の企業さんでセミナーをしたんですが、50代ぐらいの人たちが結構いて、『何話せばいいんだ?』って結構抵抗示してるんですよね。『はあ、上司と部下が月に1回話す事がこんなに大変なことなんだ!』って…。」

向後:「ふーん」

世古:「私はベンチャー企業とかIT企業にいたので、今までクライアントさんもその辺りの企業が多くて、若い人が多かったんですね。なので上司と部下が一対一で話をすること自体は当たり前の感覚でいたんですけど。 『世の中大変なんだなー!』っていう、印象を受けましたよ。あと、自然なかたちでやるっていうのは難しいんだな、と。日本人は真面目なんですよ。マニュアルがあったらマニュアルどおりにやろうとする」

青山:「こう、ちゃんと『高校の時、好きだったこと何?』とかね」

世古:「そう!やっちゃうんですよ」

青山:「このマニュアルどおりにやるっていうようなことも…そこまで聞くんだってね。その前の関係性がどうだったかにもよるとは思うんですけど。距離があればあったで…」

世古:「たぶんね、そういうコミュニケーションの空気感って若い子は敏感に察知する、空気を読みの上手いですよね。だから部下の人は、『ああ、これマニュアルどおり聞いてるんだな…』って感じたら、あたたかい目で見守りながらやっていってほしいと思いますね。そして、上司は最初はマニュアルだけど、本当に一生懸命やろうとしているっていう姿勢があれば、結局部下に伝わると思いますので、自分で試行錯誤して続けて欲しいですね。」

向後:「そうですよね」

世古:「そこがすごく大事なところですよね。この本を書いていて、本当にマネージャーってやることがいっぱいあって大変だなー!って改めて思いました。なのですが、この本のメッセージとしては、『その大変なの状況をぜひ、楽しんでほしい』っていう、ことなんですよ。」

向後:「ああ、本当ですよ。」

青山:「そう、書いてありますよね。」

世古:「そうなんです。あとがきのところにね、書かせていただきました。要するにマネージャーに必要なのって、結局のところ人間力なんですよね。まあ、部下からはいろいろ透けて見えますよね。だから、失敗したら失敗した時にかっこつけて隠そうとするんじゃなくて、『なんか失敗してるな、おれ』っていう面倒をどう楽しむかっていうのが大事かな、と。マネジャーていうのは人間的に一番成長できる機会なので、だからそこを使って、人間的な成長を楽しむっていう方に立てるか立てないかって、それだけだと思うんですよね。」

向後:「ジャッジメントするのに慣れてるじゃないですか。」

世古:「ああ、そうですね」

向後:「発想の転換ができたらいいですね。『お前はこうだ、ああだ』ってなるのではなく、課題をみつけるみたいなところの領域に向かうとおもしろい。『なんでこの子が、こんなことを考えるんだろう?』みたいな風になってくると、意見が出やすくなるかもしれないですね」

世古:「そうですよね、上司ってジャッジメントすることが役割として求められているから、そうなっちゃってるんでしょうね、一事が万事。」

向後:「あと、日本の風土としてね、今何だか知らないけどジャッジメントの雰囲気がたくさんあって。」

世古:「ああ」

向後:「なんか芸能人が不倫でもすると、すぐネットでバッシングされるでしょう。ああいう感じでジャッジっていうのが蔓延しているんですよね…」

青山:「街の声とか、『どう思われますか?』とかね」

向後:「そう。それで上司がジャッジメントをやっちゃうんです。そうではなくて、『なんでこれを考えたのかな?』と『なんで、こんなとんちんかんなレポートが出てきたのかな?』ってね。先ほどおっしゃっていたようにね、とんちんかんなレポートを楽しむようになれたらすごいですよね。でも頭にくるかな?(笑)」

青山:「どうなんだろうね?(笑)でもそのとんちんかんが本当におもしろかったらね、こう『どこからきたんだろう…?』と思えるでしょうね。好奇心がもてたり…。」

世古:「まあ、適切な、適正な期待値をどうもつのか?ということかもしれないですね」

向後:「今までいろいろ会社の方とお会いしましたけれど、うまくまわっているところは実際、これに似ているようなことやっているなと思ったんですよね。上司が部下にちゃんと説明しています。それで、説明を受けた部下の人たちが、遠くの目標が見えてくるんです」

世古:「そうなんですよね、情報をとにかく全部公開すれば、要するに考える材料ができるので、頭を使って考えるということができるわけですよね。そうすると上司は『オレと同じ情報をお前は持っているんだから、あと考えて』って言える。それで考えられるようになれば、上司の後釜になれるってわけなんですよね。」

向後:「それいいですよね」

青山:「私も海外駐在員の現場のカウンセリングとかアセスメントの時に、やはり部下の方がおっしゃるのは『悪い状況や悪いニュースでも教えてくれたら、その方が覚悟もできる。見通しも取れるし、だから教えてくれないことが一番キツい』っていう風に言ってますね。『悪いニュースでもいいからシェアしてほしい』っていう意見は結構よく出てきて。でも駐在の場所(過酷な現場)になるとブロックで何ヶ月も一緒に過ごすので、普段、会社の中だったら絶対に接しない人とお昼を食べたり、あと土日の時間も一緒に過ごしたりすることが増えるから、やっぱりコミュニケーションとらざるを得なくて。連帯感が出てきてうまくいっているケースと、やはり隠してばかりだと、土日の時間の過ごし方にしても、上の人は上の人との過ごし方、若い人は若い人でと別れてくると結構うまくいかなくなってるなっていうのは印象的ですね。」

世古:「はい。」

青山:「本当に、どれほどシェアできるかなっていうところですよね」

世古:「今の時代は、上司が本当に努力が必要だなって思いますよ。昔は、わりと若手は上司に気を遣って話を合わせたりとか、聞いたりとかやってたんですど、今の若い子はね、そういう気は遣わない人が多くなってきている気がする。本当に全然悪気ないんですけど、自然に自分達の世界観だけで話すというか、あんまり合わせようとしないというか。」

向後:「なるほどね」

世古:「そういう傾向というのが結構あるように思いますね。良くも悪くもフラットというか…」

向後:「確かにそうですよね。どこからか、急に変わってきてますよね。」

世古:「そうですよね〜」

青山:「なんかゴルフとかも上司の人たちに誘われて始めてやってみた、とかっていう人もいるけれど、誘われても絶対にやらない!とかね。なんか気を遣ってやり始めることでもない…みたいに。」

世古:「そういうのがありますよね」

青山:「『いや、僕はいいです』みたいな感じで」

向後:「『飲み会もいいです』みたいなね。

世古:「そうなんですよね。その辺、あまり無理しないんですよね。」

青山:「ドライというか…。」

向後:「僕らの時なんか『部長、ナイスショット!』とか(笑)」

世古:「(笑)そうそう。そういう話ですよね。『部長ー!』ってね。わざわざミスをしたりして」

青山:「カラオケとかも、早く終わんないかなとか思いながらも拍手したりね、盛り上げたりとかね。」

向後:「今の人たちは、そんな会社のカラオケなんかには行かない、自分達でアニソン歌ったり、楽しくやっているじゃないですか」

世古:「その辺は本当に肌で感じますね。まあ大変だと思うんですが、そこに本当に好奇心をもって、その生体を知ろうとしていかないと、『なんかわかんねえよなー』で。上司は上司で愚痴言って終わっちゃうっていうね…」

向後:「1on1ミーティングやったらわかるかもしれないですよね。」

世古:「そうなんです。上手くやればわかるし、下手にやっちゃうとギクシャクしたりしてきて、溝が深まっちゃうこともある。なのですが、とにかく頑張って半年は続けて、信頼関係を築いていくしかないですね。」

向後:「そうですよね、続けていったらちょっとは変わってくるかと思うし。
最初、僕は、いわゆるオタク系のクライアントさんの言っていることがわからなく苦手だったんですよ。だけど、最近、結構おもしろいと思うようになりました。よく聞いてみると、彼らの世界観には、独特の美学みたいなものがあるし、まじめすぎるぐらいの正義感があったりとか。」

世古:「そうですね。そこをおもしろいって思えるのって、要するに自分の枠だけじゃないところを受け入れるっていうわけじゃないですか。それって人間の幅とか、成熟とか、そういう人間的成長っていうのを楽しんでほしいなっていうね。」

青山:「共感、どれほどできるかってことにもなるし、傾聴するとかも、そこは、しゃべらない部下とかには結構時間が長く感じるんだろうなって。」

世古:「そうですね。」

向後:「これがきっかけになってさ、何かいろいろと聞き出せたらおもしろいですよね。」

世古:「そうですね。1on1ミーティングをやり始めた人の声を聞くと、『意外と部下のことを知らなかった』とか『新しい事を教えてもらった』っていう人多いですね。」

向後:「今の世の中って、何かっていうと、『こうでなければいけない!』っていうのが、強過ぎると思うんですよね。そうした状況は、今後変わっていくかもしれないと思っていまず。聞いてみたら、『意外におもしろいじゃん!』っていうかたちになってくると、まったく違う文化になっていきますよね。要するに、違う事がイノベーションのもとになるという意識が定着したらいいですね。『ああ、それ、おもしろいね』っていう雰囲気になったら、いろんなものが出てくるんじゃないかって思うんですよね。」

世古:「本当に、まさにそういう時代。先が見えない中で、むしろ若い子の方がいろんなものを知っていたりするので、そういうのをうまく引き出せる上司が必要ですよね。」

向後:「今、テレビのコマーシャルで、上司がオフィスに行くと部下がオフィスにいないというのがありますよね。」

青山:「ああ!あった」

向後:「それで課長さんが困るわけですよ。部下は、どこかの島にいて、その部下に課長さんが、『なんで会社に来ないんだ?』って言ったら、『会社でやる必要あります?』って(笑)」

世古:「ああ!」

向後:「そういう時代も来るし」

世古:「ほぼ、ほぼ来てますよね。」

向後:「発想を変えないとどうしようもないですよね。」

世古:「ですよね」

向後:「世古さんはそもそも、この本を書こうと思ったのはどういうところから?」

(つづく)

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